人を「木」に例えると、地面から上の部分、
つまり、「幹」や「枝」や「花」にばかり、
注目が集まっているような気がします。
見た目や持ち物、地位など、
表面だけを見て、比較されてしまうのです。
しかし、輝いているように見える人でも、
あっという間に輝きを失うことが多くあります。
これはまさに、
突然枯れ木になったり、倒木してしまうような、
「根が張らない」木のようです。
無理に養分を吸い上げ、
地面から上の部分だけで立派に見せると、
じきに抜け殻のようになってしまうということです。
私が、生きることを苦しいと感じていた頃は、
根が十分に育っていなかったと感じます。
当時は、自分が弱くてダメな人間だと考えていましたが、
まだ根が育っておらず、幹も芯から太くなっておらず、
エネルギーを吸い上げることができていなかったのです。
そのことに気付き、根っこを大切にしてから、
生きることの本当の幸せに気付きました。
あの頃の自分は、「幹」や「枝」や「花」だけ立派に見せて、
根っこはボロボロだったのです。
このような、「人に見せる」ための生き方から、
「自分自身を大切にする」生き方に変えたことで、
私はやっと、人生の喜びを再認識したのです。
日本社会は、根っこを見られない人が多くいます。
だからこそ、息苦しい社会になっているし、
根っこを見られず、「幹」や「枝」や「花」に
騙されてしまう人が多くいるのです。
良く見れば、幹や枝は空洞だらけでスカスカだし、
花はイミテーションであることに気付くはずです。
相手も、自分も、「根っこ」をしっかり見ることを
忘れないようにしたいですね。
そして、自分のことに関しては、
立派な枝や花を誇るために、焦らないことです。
「根っこ」を大切にし続ければ、
人としてのあり方を見つめ続ければ、
やがて、寒い冬や嵐にも負けないような
強い幹や枝を伸ばし、そしていつか、
美しい花を咲かせることができると信じています。