「聞く」という行為を「受け身」で捉え、
会話を「話し手」に依存する方が多いですが、
私は、「聞き手」こそが会話の主役だと考えます。
「落語家殺すにゃ、刃物はいらぬ。あくびのひとつもすればいい。」
という言葉がある通り、
聞き方次第では、人を生かしも殺しもすると
認識するべきなのです。
聞き手の感情の変化を感じられたら、
話し手も感情が動き、より熱を込めて話しますし、
一般に公開しないような特別な情報までをも
話してしまうことさえあります。
反対に、聞き手から全く反応を感じなければ、
思うような話を展開することは決してできません。
また、集団での議論の場において、
ファシリテーター(まとめ役)を務める場合も、
参加メンバーの意見を引き出し、
しっかりと聞いていくことが、
全体の議論を白熱させていきます。
相手の意見を真剣に聞くことが、
自分の意見をきちんと聞いてもらえることにも
繋がっていくのです。
このように、良い聞き手は、
話し手を巧みにリードしていきます。
なお、ビジネスの現場だけなく、
子育てにおいても、「聞き手」の役目は
とても重要です。
伝えることができるようになった子供は、
伝えたいという大きな欲求を持っています。
それなのに、携帯を見ながら
適当に相槌を打っていたり、
酷い場合には、「うるさい!」と、
子供の言葉を奪う親を見掛けます。
そのように育てられた子供は、
1人で完結するインターネットの世界に逃げ、
どんどん、人と会話ができない子供に
なっていってしまうでしょう。
「それでどうなったの?えー!?凄いねー!それから??」
などのように、
オーバーリアクションで聞いてあげることが、
子供の話し手としての能力を育て、
そして、聞き手としてのあり方を示すことに
繋がっていくと思うのです。
良いインタビュアーは、
良い聞き手となって、
相手から多くの話を引き出すことができます。
聞き手は決して受け身ではなく、
話し手をコントロールする「会話の主役」と捉え、
「聴く力」をしっかりと伸ばしていきたいですね。